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なぜ”モデルルームなし”に挑戦できたのか? – チェックバックツール「ROOV check」による、関係者間の円滑な合意形成の舞台裏
#効率化, #顧客満足

野村不動産株式会社
開発企画本部 建築企画部 企画一課 課長代理 谷口 豪 様 ※旧所属:西日本支社 住宅事業推進部 推進一課(~2025年3月末)
新築マンション販売において、モデルルームは長らく当たり前の存在でした。しかし今、ROOVがその常識を変え、「モデルルームを作らない」という新たな選択肢を生み出しています。
野村不動産株式会社の谷口様は、「プラウド神戸トアロード」において、デジタルツインソリューション「ROOV.space」をご採用。モデルルームを作らないという決断のもと、現場の意識改革を牽引しながらプロジェクトを推進されました。
推進担当者として、多様な関係者との合意形成をいかにして円滑に進めたのか。その鍵となったのが、スタイルポートが提供するチェックバックツール「ROOV check」(特許出願中)です。従来のチェックバックとROOV checkの違い、具体的な活用法から業界の未来を見据えた展望まで、詳しくお話を伺いました。
1.数十タイプの再現も可能。ROOVが拓いた表現の可能性
中村:まず最初に、谷口さんが初めてROOVを導入された際の第一印象を教えてください。野村不動産様の西日本支社においては「プラウド茨木双葉町」が初採用でしたね。
谷口様: 正直に言うと、最初は不安の方が大きかったです。従来のマンション販売は、実際のモデルルームでお客様に体感いただくのが当たり前でした。特に、実際に販売を行う担当者からは、モデルルームで住戸をつくらない事による、お客様への案内方法についての不安の声があがりました。また、これまでお客様には開示できていなかった細かな部分まで表現可能なため、どこまでの内容を表現するのかも論点になりました。
しかし、話を伺い理解を深めるうち、メリットも非常に多いと感じ始めました。モデルルームでは1〜2タイプしか再現できませんが、ROOV walkなら何十というタイプを3Dで見せられる。「実物がないなら、3Dでもいいのでは?」と。結果的に表現の選択肢が格段に広がったと実感しています。お客様の目線に立てば、非常に透明性が高く良いものだと思います。
2.ROOV checkで、建築の専門ではない関係者とも、空間イメージの共有が容易に
中村: 建築担当のお立場として、従来はどのように品質チェックをされていたのでしょうか?
谷口様:これまでは、紙の図面に赤入れをしたり、最近ではiPadでPDFに書き込んだりと、いずれにしてもやり取りの基本は2次元の情報でした。それに対して、ROOV checkのようにウェブ上の3D空間へ直接コメントできるツールは、全く新しい体験でしたね。
中村:ありがとうございます。実はROOV checkは、私自身が前職で設計に携わっていた経験から、「3Dコンテンツをどうすれば効率的にチェックできるか?」という発想で生まれました。実際に使われてみて、どのような変化がありましたか?
谷口様: 関係者同士の「共通認識」が格段に深まりました。我々のように建築に携わる人間は2D図面から空間をイメージできますが、専門でないメンバーには難しい面もあります。ROOV checkを通すことで、あらゆる関係者と空間イメージの共有が容易になったと感じます。
チャット感覚で指示を出したり、修正データを添付できる点も画期的です。以前のやり方で、今回の指摘数を「いちいちメールで送っていたら…」と思うと、ゾッとしますね。各自が事前にデータを確認できるので、関係者が集まるチェック会の時間も短縮されたと思います。
3.「脱モデルルーム」にチャレンジしたプラウド神戸トアロード
中村: 「プラウド神戸トアロード」では、デジタルツインソリューション「ROOV.space」をはじめ、ROOVの空間体験システムを一式ご採用いただきました。改めて、採用の背景をお伺いしてもよろしいでしょうか。
谷口様: このプロジェクトは、「住戸モデルルームを作らない」という大きな命題を掲げた物件でした。
本プロジェクトの一番の売りは、神戸三宮の中心地に位置する「立地」です。その魅力を最大限に活かせる場所にギャラリーを構えるにはコンパクトにする必要がありました。そこで、「プラウド茨木双葉町」でのROOVの効果やお客様の反応も踏まえ、ROOVを中心に営業するという方針を採ったのです。
販売前の早期段階に方針を設定し、現場の意識改革を進めながらプロジェクトを推進する事が私の役割でした。ROOV checkのような新しいツールには学習コストという課題が伴います。だからこそ、その導入意義については、事前に何度も丁寧に説明することを徹底し、関係者間のスケジュールのすり合わせも念入りに行いました。
谷口様: 今後のアップデートで、さらに使いやすくなることを期待しています。
中村:まさに、谷口様のようなプロジェクトマネジメントを担う方々を、ROOV checkがいかに手助けできるか。それが、このツールの根幹にあるコンセプトなのだと改めて感じます。今後も皆様のお役に立てるよう、進化を続けてまいります。
4.ROOVが変える、建築プロセスの常識
中村: ROOV checkは今後、販売の前工程である「設計段階」や、後工程の「施工管理」でも活用できると考えていますが、いかがでしょう。
谷口様: 設計の初期段階で使えると非常に良いですね。計画の初期からデザイン検討を3Dで手軽にできれば、手戻りが減り、意思決定の質もスピードも上がるはずです。設計者の頭の中にあるイメージをより共有できる可能性を感じます。従来は検討用のパースにて共有・説明する事が多いですが、設計の初期段階から3Dでのイメージ共有を関係者で図ることで、より精度の高い検討ができると思います。
谷口様: 最近、強く感じていることがあります。デジタル技術によって家の中での体験が豊かになるほど、「なぜ、わざわざその場所に行くのか」という、建築(リアルの場)が持つ価値がより深く問われるようになる、ということです。
不動産は、本来その「場所」と切り離せないものです。しかし、ROOVのように情報を場所から切り離し、どこでも体験できるようにする発想は、これまでにない新しい価値を生む可能性を秘めています。
このデジタルとリアルの相互作用が、建築や不動産そのものの価値を、今まさに変えようとしているのかもしれません。
ROOVが、設計や不動産販売の現場で当たり前に使われる「インフラ」として定着していくこと。それが、今後の課題ですね。
中村: まさに「インフラ」は、私たちが目指す姿です。ROOVがマンション販売の、ひいては建築プロセス全体のインフラとなることを目指し、今後もチャレンジを続けていきたいです。本日は誠にありがとうございました。
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